「標準」を目指すより「特性」を活かす――教育とこどもの栄養の共通点

子育てをし、また教育の現場に携わっていると、人が生まれ持った「特性」や「得意なこと」の影響がいかに大きいかを痛感します。

画一的な「望ましい姿」を目指して無理に矯正するよりも、その人が持つ特性をどう活かすかに注力すべきではないか。慶應義塾大学の安藤寿康先生(遺伝学)の著書や記事を読み、その思いをいっそう強くしています。

「期待に応える」ことから「自分を活かす」ことへ

私自身を振り返ると、教育を受ける中で提示される「望ましい姿」に自分を合わせようと努力することが正解だと思ってきました。周囲の期待に沿って承認を得たいという思いもあったのかもしれません。

もちろん、そうした意識が成長を促す側面もあります。しかし今は、それ以上に「自分が活きる場所」を見つけることこそが重要だと感じています。

感覚としては、「自分を活かせる場所探し」が80%、「その場で求められる役割に合わせる努力」20%くらいが理想でしょうか。

自分に合った場所が見つかれば、本人は「努力している」という悲壮感なしに、自然と成果を出せるものです。逆に、期待に応えようとしすぎると、自分の特性を見失い、自分を活かせる場所にたどり着くまで遠回りをしてしまいかねません。

学生やこどもたちには、自分自身を知るためにこそ、多くの時間と経験を費やしてほしいと願っています。

わが子の「違い」を目の当たりに

この「特性」は、私の専門である栄養の観点からも明らかです。

わが家の2人の子どもは、驚くほど「太りやすさ」が違います。同じ母から生まれ、同じ食事をとり、同じおやつ用意されているのに、一人は「もっと食べて」と促さなければ体重が増えず、もう一人は放っておくとすぐに増えてしまう。

20代の頃、病院管理栄養士として患者さんに接していて、肥満傾向にあるお子さんの親御さんから「兄弟で食事管理を変える苦労」を伺っていましたが、今まさにそれを実体験として身に染みて感じています。

食事の工夫で多少のコントロールは可能ですが、2人を同じ「標準」に揃えることは現実的ではありませんし、そうすべきだとも思いません。子どもたちには、自立するまでに自分の体の特性を正しく認識し、一生使える食の知識を身につけてほしいと考えています。

「大らかさ」を支える支援のあり方

先月、第23回日本小児栄養研究会に参加しました。低出生体重児や、体重管理が難しい疾患を持つお子さんの話題など、非常に学びの多い場でした。

親御さんはどうしても「標準に育てたい」「身長が伸びないと子が苦労するのでは」という不安を抱えがちです。しかし、講演の中で「漫才師の中川家のお二人のように、それぞれに個性があるのだと理解することで、食事にも大らかに向き合えるようになる」というお話があり、深く納得しました。そのことが食事療法の効果への近道ということもあるでしょう。

とはいえ、子育ての渦中にいる親御さんにとって、そのように割り切るのが決して簡単ではないことも、経験者としてよく分かります。

だからこそ、乳幼児健診や保育園、病院などの栄養指導の場面では、「生まれ持った力を受け止め、無理なく活かしていくための支援」がこれまで以上に広がっていってほしいですし、小児栄養研究会に集った方々の温かな雰囲気からは、きっとそれが実現するように感じました。

https://www.jscnr.org/