揚げ物は体に悪い?太る?「揚げ物」を理解して、おいしく食べよう!

「最近、揚げ物を食べ過ぎていて…おいしくて、つい」

「スーパーで揚げ物の総菜を買って夕食にしちゃうんですよね…」

「育ち盛りの息子たちをお腹いっぱいにするには揚げ物しかない、それを私も食べてしまって…」

「衣は外して、食べています…」

何かと、反省の弁”…”に登場する揚げ物。

揚げ物って、そんなに体に悪いのでしょうか。そもそも、揚げ物はなぜ悪いとされているのでしょうか?

について、考えてみたいと思います。

1.食材・衣が多くの揚げ油を吸うため、エネルギー摂取量が多くなる。

油1gは9kcalあり、たんぱく質や炭水化物に比べて2倍以上高エネルギーです。

衣が厚くなるほど吸う油の量が多くなります。つまり、素揚げや唐揚げに比べて、フライや天ぷらで多くなります。

フライであれば、中身(肉や魚、野菜、いもなど)の重さの約20%の油を吸うとされています。つまり、100gの豚肉を豚カツにすると、20gの油(180kcal)がプラスされます。

蒸したり、焼いたりするのに比べて、吸う油や衣のエネルギーが加わることは、摂取エネルギー量に大きく影響します。

揚げ物を悪者と位置付ける場合は、揚げ物=高エネルギー=太る、という考えに基づいていることがほとんどでしょう。

ご存じの通り、肥満は生活習慣病やがんなど、多くの病気につながっていきます。

2.体に好ましくない影響を与える「種類」の油をとってしまう可能性

しかし、油の「量」よりも、実は「質(種類)」の方が重要かもしれません。

現在、世界の脂質栄養では、脂質の量よりもその種類が健康に影響を及ぼすという論調が高まっています。

たとえば、地中海食では、アヒージョのようにオリーブ油の中に食材が浮いているような料理もあり、たっぷりの油を使いますが、健康的な食事として知られています。しかし、肉や乳製品由来の油脂の摂取量は少ないことが特徴的です。

家庭で揚げ物をする際は、菜種油や大豆油、こめ油などを使うことが多いでしょう。これは、植物性の油で、一価不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸という体に良いとされる脂肪酸が多く含まれています。

しかし、外食などでは、植物油を使う場合もありますが、牛脂や豚脂(ラード)のような動物性油脂を使うことがあります。仕上がりがカラッとべたつかず、食間がよくなるからです。これらには「飽和脂肪酸」という血中LDLコレステロールを上げる原因となる脂肪酸が含まれています。

また、菜種油などの植物油に水素添加して固形化したショートニングを使っていることも多いです。これらは、低価格であること、食感としてが牛脂やラードなどと同等のものを得られるからです。しかし、このショートニングには「トランス脂肪酸」という心臓病の危険を高めるとして諸外国で規制されている脂肪酸が含まれているため、使用を減らしてきています。

その代替となるものとして、「パーム油」が多く使われています。アブラヤシを絞った油で植物油ではあるのですが、前述の「飽和脂肪酸」がとても多いのが特徴です。ショートニングではトランス脂肪酸が、パーム油には飽和脂肪酸が含まれていて、これらはいずれも、動脈硬化性疾患に対して好ましくない影響を与えるとされているというものです。

冷凍食品の揚げ物でも、ショートニングやパーム油が使われていることがおおいでしょう。これらはいずれも植物油ですので、原材料表記としては「植物油」となっています。

このように、自宅で調理する揚げ物か、外食・惣菜・冷凍食品などで購入する揚げ物かにより、油の質が違ってくることに注意が必要です。

3.劣化した油を避けよう

加えて、気にしたいのが、劣化した(酸化した)油の体への影響です。

一部のコンビニなどでは、何日も揚げ油を交換していないことがあり、真っ黒な油で揚げていることがあります。高度に劣化した油を摂取すると、吐き気や嘔吐、下痢、倦怠感、脱力感、頭痛などの中毒様症状を起こすことがあります。長期的な体への影響については、まだ不明なことも多いです。劣化した油を多く取り過ぎないことがよい、ということに異論はないでしょう。

自宅の外で揚げ物を食べる際は、どのような油(種類、交換頻度)を使っているのかを確認するようにしましょう。

結論

1.揚げ物を食べる頻度が多くなりすぎないようにしよう!

2.よい油を使って揚げ料理をし、できたてを食べよう!

引用文献

Gadiraju TV, et al. Fried Food Consumption and Cardiovascular Health: A Review of Current Evidence. Nutrients 7(10):8424-30, 2015.