本気で痩せたい人におすすめの本:無意識の食べ方、食べすぎトリックに気づく
学生時代にこの本が出版されて出合っていたら、人生変わっていたかも!という面白い本を読んだので紹介します。
邦題が「そのひとクチがブタのもと」とトリッキーですが、原題は、Mindless Eateingとシンプルです。
著者のブライアン・ワンシンク博士は、アメリカの研究者で、食品マーケティング、食行動、食心理学の専門家です。
彼の研究所には「研究用の」素敵なレストランや居心地のよいキッチンがあり、そこや「現場」で数多くの研究がおこなわれています。
例えば、こんな感じです。
- 映画館に入る前に観客にポップコーンをプレゼント。大きな容量のポップコーンを渡された客は、小さな容量を渡された客より、たくさんのポップコーンを食べる。
- レストランでワインをサービスされる。よい銘柄と説明された客は、そうでない客に比べて(実際は同じワインがサービスされたが)、食事を食べた量が多くなった。
- 骨付き肉を学生にサービス。食べる度に、食べ終わった骨をウェイトレスが片付けたグループは、骨を片付けられずに机の上に積まれたグループより、食べた量が多かった。
- チョコレートケーキの試食を磁器の皿に入れて提供した場合は、紙皿やナプキンにのせて提供した場合に比べて評価が高くなった(同じチョコレートケーキである)
などなど…。傑作なのは、底なしスープボウル実験。
机の上に置かれたスープボウルの底には穴が開いていて、スープを飲んでも飲んでも、机の下からチューブでスープが充填されていく。そうすると、ふつうのスープボウルでスープを提供された場合に比べて、食べる量が増えたという。
これらは、紹介されている研究のほんの一部であるが、我々がいかに、食品の容量や見た目、ブランド、イメージ、食べる環境(場所、あわただしさ、音楽、食器)に影響されているかを改めて考えさせられる。意思が弱いからダイエットができない、ということではなくて、無意識に食べ過ぎる罠が色々なところに張り巡らされているが、その罠を意識するだけで、食事のとり方は変わってくる。
また、性別ごとの食に関する意識が大きく異なり、男性ではたくさんガツガツ食べることが「男らしい」と認識して、脂っぽくカロリーの高いものを食べることが習慣化されていたりするという。そういう人に「ヘルシーな野菜中心の食事を食べましょう」といっても受け入れがたいかもしれない。食事の指導をする管理栄養士にとっては、そのような食心理を把握したうえで、栄養指導における伝え方を考慮する必要があるだろう。
日本の栄養学は(世界でも同じだと思うが)、食品、食事の栄養素、栄養組成に注目することが多い。もちろん、食行動や食心理学は重要であるということは周知されていて管理栄養士養成課程では「栄養教育論」等で学生たちは学んでいるのだけれども、日本独自の食行動研究、食心理学研究は発展途上だと感じる。
数多くもの研究をおこなってきた著者が第十章でまとめる結論は、とてもシンプルでありきたりなものだ。
でも、そこに真実があると私も思う。
「よりよく食べる」という目標。
管理栄養士やガイドラインが提示してくる「正しい食べ方」に到達するのは長期目標だが、まず今日から「より良い食べ方」を始めよう。
1日100~200kcal程度の無意識でできるカットを続けていくということが大切である。
内容が盛りだくさん過ぎて伝えきれないので、ぜひ読んでみてください!