小児病院の管理栄養士になるには
毎年、就職活動を前にした学生から「小児病院に勤めたいのですがどうしたらいいですか」と相談を受けます。彼女たちは「子どもが好きなので、子どもに関わる仕事がしたい」という思いが強いです。小児医療に関わる管理栄養士についてご紹介します。
管理栄養士が小児医療に関われる病院
- 小児総合医療施設
- 大学病院(多くが小児科病棟を有します)
- 小児センターや小児科病棟を有する総合病院
これらの「いわゆる地域の小児科医院」ではなく、地域の医院で診られないときに紹介状をもって受診する病院です。高度な治療が必要な頻度の低い疾患の子どもを対象とするので、管理栄養士も幅広い疾患を理解しそれに対する栄養指導や栄養管理を実施する必要があります。
小児医療における管理栄養士業務の特徴
- 疾患だけでなく心身の発育に配慮した栄養管理を実践することで、子どもや家族を支援できる。
- 職種を問わず子どもの治療に熱意をもって取り組んでいるため、さまざまな連携がとりやすい。
- 栄養指導や栄養管理は、小さい身体に合わせて行われるため、ち密な栄養計画と指導、適切に実施されているかのモニタリング、評価をおこなう。栄養管理のサイクルを丁寧に回した関りができる。
三番目について補足すると、糖尿病の栄養指導をする場合、対象者が高齢者であれば、理解力や食材調達・調理技術が低いことがあり、「おまんじゅうは1個にしてください」などと大ざっぱな指導にとどまることがあります。しかし、小児の場合は(指導は保護者に対してになることが多いですが)エネルギーや食品構成、献立の立て方、調理法などかなり細かく指導することが多いです。
では、どうすれば、管理栄養士として小児医療に関わることができるのでしょうか。
就職する方法
- 小児総合医療施設:ほどんどが公立病院であるため、各自治体の試験を受けて合格するのが第一段階。次に、その自治体が有する幾つかの病院のなかから、配属先が小児病院となる必要がある。
- 大学病院:大学病院が独自に実施している採用制度で入職する。そのうえで、小児科病棟の担当を希望する。
- 小児センターや小児科病棟を有する総合病院:病院ごとの採用制度で入職し、小児臨床栄養管理の研鑽をつむ。
まとめ
心から小児臨床栄養に関わりたいと思っている人が直接的に小児病院に応募できる現状でないのが残念ですが、常にアンテナを張ってチャンスをつかんでほしいと思います。また、最近は、地域の小児科クリニックで管理栄養士を雇用する例が出てきましたので、子どもの日常的な食生活に関われる管理栄養士の職域が今後さらに増えていってほしいと願っています。
小児臨床栄養を学ぶのに必須の教科書です。
神奈川県立こども医療センターの高増哲也先生とご一緒に編集したテキストです。