無形文化遺産「和食」の地味なおいしさを次世代に伝えたい
2013年に、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
「和食」が世界に認められた!と聞くと、多くの人は、美しい懐石料理や豪華なすし、てんぷら、すき焼きを思い浮かべるのではないでしょうか。
最近では、ラーメンも立派な日本食ですね。
しかし、世界遺産の登録に際して「和食」の良さは、次の4つが挙げられています。
- 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
- 健康的な食生活を支える栄養バランス
- 自然の美しさや季節の移ろいの表現
- 正月との年中行事との密接なかかわり
手の込んだ盛り付けに、美しい器、そして豪華な料理ーというのは、上の3,4に相当しそうですが、私は、和食の良さは1,2の方が重要であり、それを皆さんにも気づいてもらいたいと思っています。
地域ごとに美味しい食材があり、それを生かす調理法があります。
魚の鮮度を保つための活〆は、今や世界に広まっています。また、さっと茹でてうす味をつけた「お浸し」などの和え物、新鮮な魚に軽く塩を振った焼き物など、最低限の調理でおいしく食べられるのが和食のよさです。
新鮮な食材は食材そのものの香りや味がよく、また傷むことで生じる臭みなどもないので、薄味でもじゅうぶんにおいしいです。(減塩)
また、長時間・高温加熱した場合、食品中に、細胞傷害を促進させる「終末糖化産物(AGE)」が生じるとされていますが、非加熱や最低限の調理をおこなう和食では、AGE産生量も少なくなると考えられます。
日本の主婦の家事能力は世界の中でも非常に高く、和食だけでなく中華、イタリアン、アジアンなどの世界の料理を作ります。レストランでなく一般家庭でも多くの調味料や調理器具が揃えられています。
しかし、切れ味のよい包丁できゅうりを切って、塩もみしたもの。小松菜を茹でて、数分煮浸しにしただけでも、十分においしいのです。
複雑な味付け、手の込んだ料理に慣れすぎて、そんなシンプルな料理が「地味・粗食」とされ阻害されるのは、和食の文化が失われるということだけでなく、身体にやさしい料理が日本から失われることを意味します。
子どもに「ママの料理って地味なんだよね。おいしいけど」と言われて笑ってしまいました。
でも、今のところ作戦成功です。地味なものの美味しさを伝えることが、日本の食育だと思っていますから。