妊娠糖尿病:食事どうしよう?ご飯どう食べる?
妊娠糖尿病とは
妊娠に伴って血糖値が高めになることをいいます。
既に糖尿病を診断されているかたが妊娠したり、明らかな糖尿病が妊娠後に判明したりする場合は除きます。
妊娠糖尿病の栄養管理
私が以前に勤めていた病院は周産期センターをもっていたので、妊娠糖尿病の栄養指導をよくおこなっていました。
妊婦の栄養管理については、科学的根拠が十分とはいえないのですが、現段階でベストと考えられていることについて紹介します。「糖尿病治療ガイド2020-21」には、摂取エネルギーの算出方法が明記されましたので、それも含めて食事のとり方を説明しますね。
1.エネルギー摂取量を適切にー体重増加量をみながら評価、調整するー
妊娠糖尿病では適正な妊娠中の体重増加量を得ることが重要です。主治医の先生から目安の体重増加量をお聞きになっている場合は、それに従ってください。一般的には下表が目安となります。BMIは、非妊娠時体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)でもとめます。
BMI<18.5 | 9-12㎏ |
18.5≦BMI<25 | 7-12g |
BMI≧25 | 個別対応(およそ5㎏を目安) |
その体重増加を得るためのエネルギー摂取量は、非妊娠時の体格が肥満(BMI≧25)かどうかで目安が異なります。
目標体重というのは、BMIが22となる体重となる場合、現体重に設定する場合、現体重とBMI22の間に設定する場合などがあります。
個別の設定については主治医や管理栄養士に相談してください。
【非妊娠時の体格が肥満であった場合】
目標体重(kg)×30kcal
【非妊娠時の体格が肥満でなかった場合】
妊娠初期:目標体重(kg)×30kcal+50kcal
妊娠中期:目標体重(kg)×30kcal+250kcal
妊娠後期:目標体重(kg)×30kcal+450kcal
上の摂取エネルギーはあくまでも目安なので、エネルギー摂取の結果としてあらわれる「体重の増加」と照らし合わせながら、摂取量を調整していきます。
2.良好な血糖コントロールを得るための食べかた
●分食法
1回に食べる食事量を減らし、食事回数を増やす(間食を設定する)方法。これにより、食後の高血糖を抑えることができる。注意点は、間食が炭水化物メインのものになりやすいので、たんぱく質や食物繊維をしっかりとること。
●食物繊維の多い食事
食物繊維の多い食事は食後高血糖を抑制することが知られています。穀類、野菜や海藻、きのこに含まれています。
野菜は毎食、両手を合わせた1杯を目安に。主食も白米や白パンだけでなく、雑穀米や全粒粉パンなども取り入れましょう。
●炭水化物のみに偏らずに、たんぱく質も摂取できる食事
炭水化物の量は食後血糖を決定する最も大きな要因です。私が以前に健常人を対象に行った食事負荷試験では、白米だけを食べる場合と、白米+納豆、長芋、オクラを食べる場合を比較した場合、白米だけを食べる場合のほうが食後血糖値のピークが高くなりました。また、白米+ゆで大豆、じゃがいも、ブロッコリーを食べたときは白米200gだけを食べたときと食後血糖は同程度でした。
このように、炭水化物を多く含む主食は、たんぱく質や食物繊維を一緒に食べることで血糖値の上昇を抑えることが期待できます。
さいごに
妊娠中はさまざまな心身の変化により、食事のとり方も変わってくることがあります。妊娠糖尿病といわれたときは、管理栄養士による栄養食事指導を1回限りでなく、継続的に受けるとよいと思います。
健康的な食事は子どもを含めた家族の皆さんにとって大切なものです。ぜひよい食事習慣を続けてください!
参考文献
全文をPDFで見ることができます。