授業中の私語とイチローの言葉-自分で自分を鍛える

大学のオンライン授業が現実味を帯びてきたところですが、大学生の授業中の私語は全国的に問題になっているそうです。

私自身、大学時代に痛い思い出があります。1年生のとき、情報処理演習のような科目(教養科目)でパソコン室の最前列の左側に友達と並んで座っていました。授業中に2人で話が盛り上がってしまったところ、先生に「今すぐ教室を出ていきなさい」と激怒されました。その場で謝罪し、授業を受けさせてほしいとお願いしましたが「だめだ、出ていけ」と言われ、授業途中で教室を出ることになりました。私たちにとって、とても受講したい科目だったので、後ほど先生を訪ねて改めて謝罪し「次回から受けさせてほしい」とお願いしたものの許可されず、その授業の受講を諦めたのです。受講したい科目だっただけに(それなら、おしゃべりするなという話ですが)、かなり”懲りた”一件で、さすがにそれ以降の他の科目では私語を慎むようになりました。

その時代から20年以上経った今、教員が、反省して謝罪し、学びたいと申し出た学生を拒否するような対応はできません。学生にとって望ましいことではありますが、反面、本気で怒られて”懲り”たり心底反省するといった機会を持ちにくくなっているともいえます。ですから「授業中など私語をすべきでない場面ではしない」という適切な態度が身についている学生はそのままですし、身についていない学生は身についていないまま、というように態度や行動の格差が開いたままになってしまう危険性があります。学生が、注意されずとも自分自身で適切な態度を身に着けなければいけない時代なのだ…そんなことを考えている時、イチローがこども達に語った話がネットニュースにのっていました。

2019年12月、最終回となる「第24回イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式で、イチローはこども達に話しました。「先生から教わる大切なことはたくさんあります。謙虚に受け止めてほしい」とした上で「ただ、厳しく教えるのが難しくなってきています。最終的には自分で自分を教育しないといけない時代になりました。自分には厳しい先生がいたので、なかなかそうは思えなかった。今はそれが大切なことと覚えておいていってほしい」

「みんなまだ小学生なんだけども、中学、高校、大学と社会人になる前に経験する時間、そこで自分自身を自分で鍛えてほしい、というふうに今、すごく大事なことだと思います。」「厳しく教えることが難しい時代に、誰が教育をするのかというと最終的には自分で自分のことを教育しなければいけないんだ、という時代なのかなと思います。」

これは、学生時代までのことでなく、きっと社会に出て仕事をするようになっても同じでしょう。「自分で自分を鍛える」ことのできる人が成長を続けていけるのだと思います。

(ちなみに、私は高校時代イチローの追っかけで、学校帰りによくグリーンスタジアム神戸に応援に行っていました!)