加工食品とどう付き合うべきか:NOVA食品分類システムが批判される理由
加工食品をめぐる栄養指導
『食材は、目で見て産地を確かめて購入してください。新鮮な食材は少しの調味料でおいしく仕上がりますから、手をかけて料理を作ってくださいね。素材そのものの味を楽しんでください。それが健康でいるための食事です』
なーんて栄養指導で話したら、”生きた化石の栄養士かっ”とツッコまれそうです。
多忙で加工食品に囲まれる現代において、手作り料理を押し付けるなんて時代遅れで無知、患者に寄り添えない栄養士だと思われそう。
なので、管理栄養士は「加工食品も冷凍食品も、お惣菜も上手に使っていきましょうね」と伝えます。
そういうことが「今風の」栄養指導であり、有能そうに見えるから、かもしれません。
私も、料理をする時間がないと訴える対象者にはそういうでしょう。
加工食品 vs. 手作り の決着をつけたいわけではありません。
忙しいよね、仕方ないよね、加工食品使えばいいよねーという流れに対して一石を投じたい気持ちがあるのです。
加工食品はワルモノか?
加工食品の長所、短所、手作りの長所、短所をしっかり理解したうえで、自分の時間をどれだけ食事の準備に割こうか考えてほしいと思います。
加工食品の注意点を改めて考えたのは、ある本を読んだ時でした。↓
●T.コリン.キャンベルら.WHOLE がんとあらゆる生活習慣病を予防する最先端栄養学.ユサブル,2020
年代は遡りますが、フィリピンの小児肝臓がんの原因として、ピーナッツにつく発がん性のあるカビ(アフラトキシン)が検索されました。未加工の殻付きピーナッツからはほとんど抽出されませんでしたが、価格の安いピーナッツバターからは高濃度のアフラトキシンが抽出されました。
このことを知った時に、加工食品(とくに価格の低い)は食材を吟味することができず、素材ならそのまま食べないようなものを食べてしまうことがあるのだと気づいたのです。
もちろん、倫理的に食品を製造している会社がほとんどでしょうから、過剰に心配することではないです。
加工食品のよくない点
- 食材が選べない
- 調味料の量が選べない(食塩や糖分が多く含まれていても調整できない)
- 加工や流通、保存の過程で栄養素が失われる。
- 物性調整や保存のために必要な物質が添加される。
加工食品のよい点
- 時間がなくても、ある程度バランスの取れた食事が食べられる。
- 消化がよい。
- 安い。
ブラジルのカルロス・モンテイロ教授が提唱した「NOVA食品分類システム」
カルロスモンテイロ教授は、食品を加工度によって4分類しました。
- 未加工または最小限の加工食品
- 加工された調味料
- 加工食品
- 超加工食品
4番目の「超加工食品」には次のようなものが含まれています。
- 炭酸飲料
- 甘い、脂肪の多い、または塩辛いパッケージスナック
- キャンディー(菓子)
- 大量生産されたパッケージパンとパン
- クッキー
- ペストリー
- ケーキとケーキミックス
- マーガリンと他のスプレッド
- 甘くした朝食用シリアル
- 甘くしたフルーツヨーグルトとエナジードリンク
- 粉末とパッケージのインスタントスープ、麺、デザート
- 調理済みの肉、チーズ、パスタ、ピザ料理
- 鶏肉と魚のナゲットとスティック
- ソーセージ、ハンバーガー、ホットドッグ、その他の再構成肉製品
そして、超加工食品の消費の増加または大量摂取が、肥満または慢性の非感染性疾患および糖尿病、高血圧、心臓病、いくつかの癌などの発生率の増加およびより早い死亡率を増加させることが示されています。
加工食品が多くのエネルギーを摂りやすいことも示されています。↓
●O’Connor, Anahad (2019-05-16). “Why Eating Processed Foods Might Make You Fat”. The New York Times. ISSN0362-4331. Retrieved 2020-04-06.
しかし!
このNOVA分類には、多くの批判が寄せられています。
なぜだと思いますか?誰からだと思いますか?
超加工食品の製造業者、その代表的な組織、または彼らが支援する組織に何らかの形で関係している人からの批判でした。
情報に偏りなく、正しい情報を「食べる人」に届ける必要があります。