管理栄養士は女性が活躍できる職業か?

結婚してから夫が購読する日本経済新聞を読むようになったので、日経新聞を朝夕10年間読み続けたことになります。初めはカラーが少なく文字も詰まっていて読みにくいと思いましたが、大学改革や医療のトピックスが経済のフィルターを通して書かれていて、今や生活に欠かせない存在になっています。

毎週月曜日の朝刊に、女性活躍関連特集の1ページがあります。金融業界やメーカー、流通などで役職についた男性中心社会の中で”成功した”女性のインタビューが載っていることもありますし、若手の女性が働きやすいようにするための各企業の取り組みなどが紹介されています。今なお、女性には「ガラスの天井」があり、男性と同じようには上れないのだという現実を感じます。

そのような記事を読んで励まされたり参考にすることもしばしばなのですが、私自身のキャリアと重ね合わせるとピンとこないのが正直なところです。私が大学を卒業して管理栄養士として働き始めてから、男性と比べて不利な扱いを受けたり、チャンスを与えられなかったり、評価されなかったりということが思い浮かばないからです。

単純にいってしまうと、管理栄養士の業界では大部分が女性なので、女性という性別が差別の原因になりようがないのだと思います。貴重な男性が重宝される傾向はありますが、女性が損したり、男性vs.女性という構図が生まれることはあまりないようです。であれば、管理栄養士は女性が活躍できる職業であるーと結論づけられるでしょうか。

女性の管理栄養士が働くうえで障壁となるのは、勤務体系だと考えています。365日食事を提供する集団給食施設で働く場合、休日勤務や早出・遅出があり、ゴールデンウイークやお盆、年末年始などの長期休暇は取りにくいです。家族がいるなら、そのような勤務体系を理解して協力してもらうことが必要です。場合によっては、子どもの行事に参加できないなどの犠牲を家族に払ってもらうことも出てきます。

そのようななかでも、管理栄養士の仕事を続けようと思うには、待遇のよさだけではなく、仕事の楽しさ、仕事への誇りが必要になるでしょう。仕事の楽しさは、「仕事に工夫を凝らしてその成果を吟味する」という小さなサイクルを繰り返すことで感じることができます。仕事への誇りの基礎は養成課程での教育にかかっていますし、それを確固たるものとするのは職場での経験の数々です。これから管理栄養士となる皆さんが、目標にできる管理栄養士に出会えるよう願っていますし、私もその一人であらねばと思います。

そして、私がいつも心に留めているのは「栄養学という学問が発展し世の中に評価されると、管理栄養士という職業の価値が高まる」という恩師の言葉です。栄養学という学問が、管理栄養士活躍のしっかりした土台になるようにしていきたいです。