小児病院の管理栄養士が担う栄養管理とは?
こども病院(小児総合医療施設)の管理栄養士はどのような栄養指導や栄養管理をしているのですか?
という質問に、3つのサポートに分けてお答えしたいと思います。
自宅での継続した食事療法の指導・サポート
小児肥満や糖尿病、腎臓病、先天性代謝異常症、食物アレルギーなど
小児肥満・糖尿病では体や成長に合わせた食事量を各栄養素の過不足がないように摂取できるよう指導します。おやつや夜食、エネルギーのある飲み物などのとり過ぎはないか、早食いなど食べ方の問題はないかを確認し、該当する場合はどのように改善していくかお話しします。
腎臓病でも成長に合わせた食事がとれるよう指導してきます。血液中のリンの濃度が高くなることがあるので、リンの摂取が多くなりすぎないよう指導したり、医師から食塩制限の指示が出ている場合はその指導もおこないます。
食物アレルギーでは、原因となっている食品を正しく除去するとともに、成長に必要な栄養素が不足しないための食べ方を伝えます。
大切なのは、継続した栄養指導です。
幼稚園生が小学生になり、中学生になりーという成長の中で、食事のとり方も変化していきます。例えば学校給食がなくなってお弁当持参になったり、塾通いが始まって夜ご飯の時間が遅くなったり、友達とファストフードで食べる様になったりすることもあるでしょう。
また、学校行事で修学旅行や林間学校に行くこともあるのです。また、クリスマス、誕生日パーティのときは!?というように、イベントに合わせて食事を上手に食べられるよう支援します。
お口からの食事摂取だけでは必要な栄養量が足りないときのサポート
摂食嚥下障害、消化管の病気など
噛んだり飲み込んだりすることに問題があることを「摂食嚥下障害」といいます。摂食嚥下機能を働かせるための訓練をおこなっている患者さんには、食べやすい大きさ、硬さに配慮した食事をどのように準備すればよいかをお伝えします。
お口からの栄養量が足りないときは、経管栄養といって胃に入れた管を通して液体の食事をとることがあります。胃瘻からなら、ミキサーにかけた普通の食事を注入することもできるため、患者さんに合わせて、食事内容や投与方法を提案します。
腸の疾患があり、腸管から十分な栄養を吸収できない場合は、静脈栄養(点滴)から栄養を摂取する場合もあります。
その時々の患者さんの病気の状態を理解したうえで、口からの摂取以外も含めて最適な栄養法を考える総合力が求められます。
治療による副作用や病気のために栄養不良になることを防ぐサポート
小児がんや先天性心疾患(心臓病)など
がんに対して手術や化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法などがおこなわれます。これらの治療により食欲不振や吐き気、口内炎、味覚障害が起き、食事がうまくとれなくなることがあります。副作用の状態や好みを確認しながら食事や栄養方法を決めていきます。
子どもたちに食事の楽しみを感じてもらうための、クッキング会などを開くこともあります。
また、生まれつき心臓の病気がある赤ちゃんはミルク・母乳がうまく飲めないことがあります。そのような時も、エネルギー摂取を増やすためにミルクの種類を変えたり、よりよい摂取方法を考えていきます。
患者さんの治療がどのように行われているのか、病気の状態がどうなのかを理解したうえで、栄養管理方法を考えていきます。医師や看護師などとの連携が欠かせません。
まとめ
このように、小児病院の管理栄養士は、継続して患者さん・ご家族との信頼関係を築き、いろいろな栄養投与法の知識をもち、病気や治療に関して理解したうえで、多職種と連携して栄養管理・栄養指導をおこなっています。上で説明したものはほんの一部であり、他にも多くの病気に対する知識・技術をもっています。
そして、忘れてはいけないのが……入院患者さんへの食事の提供です。入院中の楽しみとして、食事を少しでも豊かなものにするために、日々工夫されています。
小児病院の管理栄養士を目指している皆さんのお役に立てますように!