『スマホ脳』を読んで、大学生の悩みを少し理解できた

世界で広く読まれている『スマホ脳(新潮社、2020年)』をようやく読むことができました。

著者は、スウェーデンの精神科医 アンデシュ・ハンセン。まだ若い(40代後半)のに、医学論文を2000本発表していて(!?)、この本の前にも一般書『一流の頭脳』が出版され、たくさん読まれたとのこと。なんて有能なの!

学術界でも評価され、一般の方に書籍を通して啓蒙することにも成功している著者は、まさに新時代の科学者そのものです(下記、関連記事)。

スウェーデンでは、国民(大人)の9人に1人以上が抗うつ薬を服用しているということ。そして、大人は1日に4時間をスマホに費やしています。著者はそのような臨床での経験をもとに、スマホとの関連が書かれています。

日本で訳本が出版されたのは、2020年11月ですが、原文で書かれたのはコロナ前とのこと。まさに、著者が書かれていることが、コロナによって加速していると感じました。

コロナ禍の大学生

コロナ禍の大学生が抱える問題は、新聞やネット、テレビなどでもよく報じられています。

通学機会が少なく友人ができない、サークル活動ができないなど、制限された学生生活を送っています。また、授業もオンラインが取り入れられ、十分に使いこなせる学生もいれば、集中力や意欲が持続できないことに悩んでいる学生もいるでしょう。最近では、オンデマンド授業を同時に再生・受講していて単位が認定されなかった大学の事例も報道されました。

1. 集中できない。

2.時間がない。

3.周りの学生の様子がわからない。

などの学生の声をよく聞きます。

1.オンライン授業は、テレビ会議システムを使って実施しますが、朝から夕方までパソコンの前に座っているだけでは、集中力を持続するのは簡単ではありません。また、授業中に、友人からLINEがきたり、他の授業の連絡通知が入ってきたりすることもありますから、気が逸れる刺激をたくさん受けることも気になっていました。

2.たしかに、私の勤める大学・学部はカリキュラムがきつく、時間はないのは理解していますが、それにしても、学生たちがいつも時間に追われているように感じていました。

3.LINEなどでコミュニケーションはとっているようですが、友人の状況がいまいちはっきりわからないという状態です。みんな課題を進めているのに、私だけできていないのではないかーなどと一人思い悩み落ち込んだりする場合もあります。

『スマホ脳』に答えらしきものが!

アンデシュ・ハンセンは、人類の進化の歴史や精神医学・脳の機能から見たストレスや”うつ”について解説しています。わかりやすく、かつ科学的な説明です。そのうえで、スマホは最新のドラッグであると主張します。

広く使われているSNSは絶えずチェックしないといけなくなるような脳科学的に合理的なシステムだそうです。特に「SNSが女子に自信を失わせる」ということには、女子大学の教員として参考になりました。

また、スマホにより集中力が邪魔されたり、睡眠障害を引き起こしてメンタルヘルスを悪化させるなど、最新の研究に基づいて解説されています。

しかし、スマホや様々なシステムの進化が速すぎて、人間がそのようなものにどのような影響を受けているのかに関する研究が追い付いていない!!という現状も知ることができました。

著者からのアドバイスで、大学生が参考にできること(抜粋)

毎日1~2時間、スマホをオフに

集中力が必要な時は、スマホを隣の部屋に置いておこう。

スマホを寝室に置かない。

どんな運動も脳に良い 中でも心拍数を上がる運動が一番よい。

つまり、スマホと適度な距離を保ち、集中力と時間を手に入れ、よい睡眠をとろう。そして、運動することでメンタルヘルスを保とう!ということです。

スマホに、自分を乗っ取られないよう、自分がスマホをコントロールして、大切な時間や心身の健康を手に入れてもらいたいと思います。

私も肝に銘じて使っていきたいと、改めて感じました。ぜひ読んでみてください。