「肉より魚を」で終わらせない!飽和脂肪酸の摂取を減らす方法【指導媒体あり】

血中コレステロール値を下げたり、動脈硬化性疾患の予防を目的として、飽和脂肪酸の摂取量を減少するような栄養指導がおこなわれます。そのとき、「肉類や乳製品の摂取を控えましょう」と定性的に指導されることが多いと思いますが、その指導を受けたかたは、量の理解ができるのか、食生活に反映させられるのか、そして、それが身体へのよい影響として現れるのか疑問に思っていました。

そこで、以前にご紹介した肥満のかたを対象とした炭水化物制限指導介入研究(記事:忙しい人のダイエットは「主食」を減らすを参照)において、対象者の半数の方に、炭水化物制限に加えて脂肪酸の摂取方法に関する指導をおこないました。(肥満者における緩やかな炭水化物制限に脂肪酸の指導を加える影響 : 実践的な栄養指導プログラムの検討

指導方法の開発についてご紹介します■

摂取する飽和脂肪酸量の目安を伝えるために、飽和脂肪酸単位表を作成しました。

飽和脂肪酸単位表は、飽和脂肪酸4gを含む食品の重量を1単位として示したもので、肉類・卵類・乳類・油脂類の代表的な食品38種類を掲載しました。

日本人が摂取する飽和脂肪酸量のうち、肉類・卵類・乳類・油脂類からの摂取は約2/3であるため、標準体重を基に算出した望ましいエネルギー摂取量の7%に相当する飽和脂肪酸量に2/3を乗じた値を4(g/単位)で割った値を、個人の指示単位数としました。

望ましいエネルギー摂取量が2300kca/日の方であれば、2300(kcal)×7%÷9(kcal/g)×2/3÷4(g/単位)=3単位となります。

この表から3単位を摂ることを基準に、自分の食生活の調整を図っていきます。

ここがポイント

全てのかたが、この単位表を使いこなせるわけではないでしょう。しかし、使える方に対しては、「量」を提示することで、自分の食生活で摂りすぎていた部分に気づくでしょう。

一方で、この程度なら楽しみ程度に食べよう、昨日はチーズを食べたから今日は脂多めのお肉を少しいただこうなどと許容量を理解することで食生活の選択の幅が広がり、後ろめたい気持ちで「控えるべきもの」を食べるよりも豊かな生活を送ることができると思います。

シンプルに指導する場合、しっかりと指導する場合をしっかり使い分けることで、より有効性の高い栄養食事指導をおこなうことができます。