子どもが日常的にジュースを飲むことについて考えるー炭酸飲料、スポーツ飲料、果汁100%ジュース

みんな、ジュース飲んでるの?

「ふだんジュースを飲まないのはクラスで僕だけだと思う。ママが栄養の仕事をしているせいで、僕はジュースを飲めないよ」

何の話の流れか、珍しく子どもがクレームめいたものを言ってきました。

わが家にある水分は、水、麦茶、牛乳のみです。水分補給は水とお茶、朝食やおやつに牛乳を飲みます。

しかし、外食や旅行のとき、またお友達にいただいたジュースなどは飲んでOKーというのがわが家流スタイルです。

他にも、ジュースを飲んでいない子もいるはずだよ、それはお母さんが栄養の仕事をしていなくてもそうしているお家はあるんだよ。

と伝えましたが、いまいち納得していない様子。

そんなに、ジュースって普段から飲むものなのでしょうか?

成長期の子供にジュースが不要と考える理由

ジュースは、主に糖質が含まれていて、酸化防止剤として入っているビタミンCを除いて、他にとれる栄養素はあまりありません。

そのような「空っぽの」食べ物で糖質をとり血糖値をあげてしまうと、ひとまず食欲が満たされ、食事のとりかたが不十分になる可能性があります。

そのことで、発育不良につながるかもしれませんし、逆に体重が増えすぎてしまう場合もあります。

いずれにしても、中身の少ない「空っぽの」食べ物でエネルギーをとってしまうことで栄養不良になる危険があるのです。

こどもは身体が小さく、一度に食べられる食事の量が多くありません。小さい子供の胃を、ジュースで満たしてはいけないのです。

果汁100%なら、いいんでしょ?

1.まず、栄養成分を比較してみましょう。

オレンジ 100g(小1個の可食部) エネルギー42kcal、食物繊維0.8g、ビタミンA(レチノール活性当量)10μg、ビタミンC 40㎎

オレンジジュース濃縮還元100% 100g(コップ半分)エネルギー46kcal、食物繊維0.2g、ビタミンA(レチノール活性当量)4μg、ビタミンC 42㎎

ジュースは、加工の過程でビタミンCが失われます。しかし、ジュースの変色を防ぐために、酸化防止剤としてのビタミンCを追加しているため、ビタミンCは、生と同程度になっています。

しかし、食物繊維やビタミンAは、生のオレンジで高くなっています。

思ったより変わらないなと思ったあなたにもう一つ。

2.食べられる量を考えてみましょう。

生のオレンジを2個、3個食べるのは、食べられないわけではないですが、時間もかかりますし、食べごたえがあります。

一方、濃縮還元ジュースを、200、300gは、喉が渇いていたら数分で飲めることでしょう。

オレンジを食品加工することで、生なら食べられない位の量をいとも簡単に摂ってしまうのです。

そうなると、エネルギー、糖質を多くとることになりますが、たんぱく質や食物繊維など合わせて摂りたい栄養成分はとれないままなのです。

3.値段は?

生のオレンジは、1個(可食部100g)で80円~100円程度

濃縮還元ジュース 100gは、14円程度(1000ml入りが140円程度として)

5倍の差です。

ジュースを低価格で買えるようにするのと引き換えに、失われた栄養素や追加された糖質などがあることを忘れてはいけません。

アメリカ小児科学会雑誌で発表された、フルーツジュースについての提言

Fruit Juice in Infants, Children, and Adolescents: Current Recommendations | American Academy of Pediatrics (aappublications.org)2017年

アメリカでは、日本に比べてジュースの消費が多いため問題も大きく、小児科医として子どもとその保護者にどう教育すべきかということが議論されているようです。

上記の文献で示されている「推奨事項」

  1. 臨床的に指示がない限り、生後 12 か月未満の乳児の食事にジュースを加えるべきではありません。ジュースの摂取量は、1 ~ 3 歳の幼児では最大 4 オンス/日、4 ~ 6 歳の子供では 4 ~ 6 オンス/日に制限する必要があります。7 ~ 18 歳の子供の場合、ジュースの摂取量は、1 日あたり 8 オンスまたは推奨される 2 ~ 2.5 カップの果物の 1 カップに制限する必要があります。(著者注:1オンス=28g)
  2. 幼児には、1 日を通して簡単にジュースを摂取できるように、ボトルや簡単に移動できる蓋付きのカップからジュースを与えてはいけません。就寝時に幼児にジュースを与えてはいけません。
  3. 子供たちは、推奨される毎日の果物摂取量を満たすために果物を丸ごと食べるよう奨励されるべきであり、食物繊維摂取の利点と、果物ジュースと比較して果物丸ごとを消費する場合の同じカロリーを摂取するのに時間がかかる(=食べ過ぎない)ことについて教育を受けるべきです.
  4. 水分の必要量を満たすためには、乳児には母乳および/または乳児用調製粉乳で十分であり、年長児には低脂肪/無脂肪乳と水で十分であることを家族に教育する必要があります。
  5. 未殺菌のジュース製品の消費は、乳幼児、子供、および青年には強くお勧めできません。
  6. CYP3A4 によって代謝される薬を服用している子供は、グレープフルーツジュースを避けるべきです (前述のリストを参照)。
  7. 栄養失調 (栄養過多および低栄養) の子供の評価では、小児科医は消費されるジュースの量を決定する必要があります。
  8. 慢性下痢、過度の鼓腸、腹痛、および膨満感のある小児の評価では、小児科医は消費されるジュースの量を決定する必要があります。
  9. 虫歯のリスクの評価において、小児科医は日常的にフルーツ ジュースと虫歯の関係について話し合い、ジュースの摂取量と手段を決定する必要があります。
  10. 小児科医は、フルーツ ジュースとフルーツ ドリンクの使用について日常的に話し合う必要があり、2 つの違いについて年長の子供、青年、およびその親に教育する必要があります。
  11. 小児科医は、幼い子供の食事からフルーツ ジュースを減らし、異常な (貧弱または過剰な) 体重増加を示す子供のフルーツ ジュースを排除することを提唱する必要があります。
  12. 小児科医は、フルーツ ジュースの消費を減らし、すでにジュースにさらされている子どもによる果物丸ごとの摂取を促進することを目指す政策を支援する必要があります。

子どもの「よい習慣」を作ることに、全力を注ぎたい

いつも冷蔵庫の中にジュースがあって、いつでも水代わりにジュースが飲めるーという環境を整えない。

ジュースは水分補給のためでなく「たまの楽しみ」として飲むものなのです。

お友達の家でごちそうになったとき、家族でお出かけしたとき、外食や旅行の時など、特別なとき(非日常)とジュースをセットにします。

日常生活とジュースは、セットにしません。

もし、すでにジュースを飲むことが習慣になっていたとしたら、「これまではいつも冷蔵庫にジュースを入れていたけど、〇〇の理由でこれからはやめようと思う。たまに飲むのはいいから、それを楽しみにしておいてね。ママ(パパ)もこれからはお茶にするね」と説明しましょう。

そして、親がジュースを飲みたいときもあれば、家の外や子供がいないときに、こっそり飲みましょう。

食事も勉強も習慣を作るのが大切です。

習慣になってしまえば、それほど苦に思わずに実行できることが知られています。

よい習慣を作ることに、全力を注ぎたいですね!