結局のところ、納豆は身体にいいの?【後編】

結局のところ、納豆は身体にいいの?【前編】」では、11名の被験者を対象として納豆を食べてもらう小規模な「介入研究」を紹介しました。

最近、納豆に関する大規模な「観察研究」の報告がありました!日本に住む92915名を平均14.8年間という長期間追跡した前向きコホート研究であり、エビデンスレベルが高いものです。

Katagiri R, et al. Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study. BMJ 2020;368:m34.

45-74歳の対象者に対し、食事摂取頻度調査票により大豆製品の摂取量を調べました。

  1. 総大豆製品摂取量(2と3の合計)
  2. 発酵大豆製品(納豆、味噌)
  3. 非発酵大豆製品(豆腐、ゆし豆腐、高野豆腐、油揚げ、豆乳)

 その後、5年ごとに追跡調査を行い、アウトカムに設定した以下の項目を調べました。

  1. 全死因死亡率
  2. 原因別死亡率(がん、心血管疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外傷)

他にも、BMIや喫煙、アルコール、運動量、糖尿病の既往、服薬、コーヒーや緑茶の摂取、検診、更年期の状況、食事摂取状況などを調べて統計処理における調整に用いられました。

結果として、総大豆製品摂取量は全死因死亡率に影響を与えませんでした。しかし、発酵大豆製品摂取量が多いグループは全死因死亡率が低い結果でした。女性において、発酵大豆製品のうち納豆と味噌の摂取量が多いグループは全死因死亡率が低かったですが男性では影響がみられませんでした。

発酵大豆製品摂取量と関係のあった死因は、男性の循環器疾患(心血管・脳血管疾患)のみでした。

まとめ

発酵大豆製品の摂取が多いグループが死亡率が低かった、と聞くと、発酵大豆製品は死亡率を下げるのだと解釈してしまいがちですが、因果関係が明らかになったわけではありません。また、納豆が直接影響したのではなく、納豆をよく食べるグループは野菜の果物や多かったり、この研究で調べていないライフスタイルの特徴があり、それが低い死亡率に関係したのかもしれません。「健康にいいとされる納豆をよく食べる人は他の優れた生活習慣も併せもっている」ということは十分に考えられそうですね。

私の発見

女性の全死因死亡率と逆相関の関係がみられた納豆。分析の際に、対象者を納豆摂取量別に5グループに分けています。摂取量が真ん中のグループ(3)でも、1週間に1-2パック食べているのは意外に多いと感じました。やっぱり納豆は愛されていますね。

  1. 納豆摂取量 0
  2. 納豆摂取量 1.0-7.0g/日 = 1~2カ月に1パックー1週間に1パック
  3. 納豆摂取量 7.0-14.1g/日 = 1週間に1パックー3日に1パック
  4. 納豆摂取量 14.1-26.2g/日= 3日に1パックー2日に1パック
  5. 納豆摂取量 26.2g/日以上 =  2日に1パック以上