よい睡眠へのパスポートは、情動と栄養状態だ!

睡眠・覚醒を調整しているもののひとつに、神経ペプチドの「オレキシン」があります。オレキシンは、覚醒を維持・安定させる機能をもつと考えられています。

オレキシンが覚醒を維持するうえで重要な因子に、情動と栄養状態があります。

1.情動(感情、喜怒哀楽)

・試験や重要なプレゼン前日に不安と恐怖で眠れない

・遠足が楽しみで眠れない

情動(喜怒哀楽)は覚醒レベルを上げます。危険なことが迫っていたら寝ている場合でないし、楽しいことがあるのに寝ていたらチャンスを逃すからです。

これらの喜怒哀楽がオレキシン作動性ニューロンを興奮させて、覚醒を維持させます。そして、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンにも影響を与えます。

2.栄養状態

情動により眠りにくいことを経験している人は多そうですが、栄養状態により眠りが左右されるとはどういうことでしょうか。

オレキシン作動性ニューロンは栄養状態をモニターし、栄養状態によって、オレキシン作動性ニューロンの活動を変化させるというのです。

栄養状態が悪い時にすやすや眠っていると動物は生命の危機に瀕するため、目を覚ましてエサを探しにいかなければいけません。そのために覚醒を維持させるのがオレキシンです。

オレキシンは、血中グルコース濃度の低下により興奮、レプチンにより抑制、グレリンにより興奮します。つまり、食欲の制御システムと明確な関連があるというのです。

覚醒(睡眠)と栄養状態(食欲)がこれほどまでに関係しているとは!!かなり読み応えのある本です。

お腹が空いたら居ても立っても居られない私は、オレキシン作動性ニューロンが平均よりも活発なのかもしれません。

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