超加工食品(NOVA分類)は、なぜ要注意なのか?日本初の研究を紹介!

上の記事で、超加工食品とは、多数の食材料を使って高度に加工し、比較的安価に広く流通している食品であると紹介しました。

例えばこのような食品です。

  • 炭酸飲料
  • 甘い、脂肪の多い、または塩辛いパッケージスナック
  • キャンディー(菓子)
  • 大量生産されたパッケージパンとパン
  • クッキー
  • ペストリー
  • ケーキとケーキミックス
  • マーガリンと他のスプレッド
  • 甘くした朝食用シリアル
  • 甘くしたフルーツヨーグルトとエナジードリンク
  • 粉末とパッケージのインスタントスープ、麺、デザート
  • 調理済みの肉、チーズ、パスタ、ピザ料理
  • 鶏肉と魚のナゲットとスティック
  • ソーセージ、ハンバーガー、ホットドッグ、その他の再構成肉製品

このようなタイプの食品を多く食べている人は、エネルギーの過剰摂取や肥満が起きやすく、生活習慣病やがんなどの病気になりやすいということが多くの研究から明らかになっています。

しかし、この超加工食品を分類するNOVA分類には大きな批判が寄せられています。

批判の多くが「分類方法があいまいである」というものです。「この食品が超加工食品なら、この食品はどうなるんだ!?」のような細かい疑問や反論がでてくるわけです。

もっとも、食品企業の立場からすると、創意工夫を凝らし、血のにじむようなコスト管理をして開発した商品を『超加工食品』に分類されてしまうのは不本意に感じることでしょう。

そのように、NOVA分類に対する批判や弱点のようなものを理解した上でも、なお、この分類を意識して食事を評価することは、食生活改善に役立つだろうという確信があります。超加工食品を一切食べてはいけない、というつもりはありません。私も食べていますから。

しかし、この食品グループを多く取りすぎている人は減らすことで、食生活や健康管理がやりやすくなる可能性があるということを伝えたいです。超加工食品に頼り過ぎず、いい距離感を保つことが大切なのです。

超加工食品は、

1,見えない油や糖類が加えられている。

2,口当たりの良い食感や嗜好性の高い味を追究している

ことから、思いのほか、多くのエネルギーを摂ってしまいがちになります。(1つ目の問題)

加えて、

高度な加工をするなかで、食物繊維やビタミン・ミネラルなどの栄養素が失われている。(2つ目の問題)

という問題もあります。

ですから、肥満になりやすいのに、栄養不良になりやすい 食品なのです。

この概念を使って研究ができないかとゼミ生とともに検討していた矢先、日本で初めて「超加工食品」の概念を使った研究を見つけました。検診受診者に食事調査をして、食事内容のなかでultra-processed foods(超加工食品)の占める割合と他の食事因子との関係、また肥満度との関係などを調べました。

小岩井 馨ら,市町村国保の特定健診受診者におけるultra-processed foodsの利用と栄養素等摂取状況および肥満度との関連.日本公衆衛生学会誌 68(2)p. 105-117, 2021.

主な結果は

1,超加工食品からとるエネルギーの割合が高い群ほど、総エネルギー摂取量が高いが、たんぱく質,食物繊維,ビタミンA・E・K・B1・B6・C,ナイアシン当量,葉酸,カリウム,マグネシウム,鉄の摂取量が低い

2,超加工食品からとるエネルギーの割合が高い群は、低い群に比べて、肥満が多かった

というもので、海外の研究で報告されているものと整合性がありました。

この調査の対象者のうち約75%が65歳以上の高齢者でした。高齢期の栄養管理を考えていく中で、より充実した栄養摂取を目指すには、超加工食品との使い方、付き合い方についても注意する必要がありそうです。

今後、さらに日本からNOVA分類を用いた研究が増えていくことが期待されます。

ぜひ注目していきましょう~!