進路に悩む高校生と考えたい 管理栄養士は文系?理系?

高校1年生で文系か理系に進むかを決める日本の文理選択は世界でも独特です。そんな日本でも、私大の経済学部に数学の試験を行うなどの変化がみられています。

ですので、議論自体が時代遅れのような気もしますが、管理栄養士という職業が文系なのか理系かなのかについて考えてみます。

「栄養士」というと女性の仕事、おいしい食事というほんわかイメージのせいか、文系と思っているかたも多いです。文系といわずとも、バリバリの理系とは思わないのではないでしょうか。

しかし、大学入学後の学習内容はまさに理系。

高校までの化学、生物をベースにした、生化学、解剖学・生理学、食品学、微生物学の授業が展開されます。調理学(調理科学)もサイエンスです。

食品は化学物質といえますし、その食品が体内で代謝される過程はまさに化学。そして、食事を摂取して代謝して排泄する「身体」を学ぶことは生物学そのものです。

ですので、化学と生物に関して「得意」でなくても「苦手やアレルギー」がないほうが幸せです。

また、大学での学びだけでなく管理栄養士として働くうえで大切なのは「数字の扱い」です。

管理栄養士は数字を扱うことがとても多いです。

(例)

●献立で、食品の重量を決める。それに調味パーセントをかけて調味料を決める。栄養価計算をする。

●献立が決まったら提供する人数に合わせて発注量を決める。その際には原価を勘案しながら調整する。

●食材購入後は経理処理をして、その費用を仕分けして記録する。

●提供した食事の数を食事の種類別に集計する。1食あたりにかかった費用等を算出する。

日々提供する食事の数をみながら調理の指示を出したり、発注を修正したりしていきます。

また、患者さんに合った投与エネルギーを、体重や基準値を用いて算出していきます。

数をとらえるのがうまいと、仕事がとてもしやすいです。微分積分などの高度な数学は必要ないのですが、基本的な計算がしっかり身についていることが大切です。

ここまで書くと、化学・生物・数学…バリバリの理系!?

栄養学の学び、管理栄養士が面白いことは、理系の学問をベースにしながらも、食事をとる「人間」を相手にすることです。

太るとわかっていてもポテチがやめられない、仲間との食事を奪われたくない、など「人間」には、それぞれ葛藤や生き方があります。

そのような方々に「ことば」を使って食事を伝えていく管理栄養士の仕事には、社会学や心理学など文系の学問の要素も欠かすことができないのです。

ぜひ、総合的な学問である「栄養学」を学ぶことを楽しみにしていてください。