炭水化物を制限すると、他の栄養素の摂取量が減ったり増えたりする話【対策あり】
炭水化物を制限する(低糖質食)にするときに、自然と摂取量が減ったり増えたりする栄養素があります。炭水化物だけを減らすつもりだったのに、知らないうちに摂りすぎや不足する栄養素が出ないよう、気を付けたいです。
【減る】食物繊維
炭水化物を多く含む穀類(米や小麦など)や果物は、食物繊維を多く含みます。
ですので、炭水化物を制限すると、食物繊維の摂取量が減ります。
砂糖入り飲料や菓子類に含まれる食物繊維量はそれほど多くないので、ジュースや菓子類だけを控える場合は、それほど食物繊維摂取量に影響しません。
食物摂取量の減少は、便通やコレステロールの吸収に影響する可能性があります。
【対策】穀類の摂取量を減らして食物繊維の摂取量が減る時は、野菜を多く食べて食物繊維を補いましょう。
【増える】脂質・飽和脂肪酸・コレステロール
主食(ごはん、パン、麺)を減らすと、おかず(肉、魚、卵、大豆製品)が増える傾向にあります。おかずには、たんぱく質と脂質が多く含まれていますので、たんぱく質と脂質の摂取量が増えやすいです。
おかずの材料となる肉、魚、卵、大豆製品そのものにも脂質が含まれていますが、これらの材料を調理するときに、脂質を使います。具体的には、炒め油、揚げ油、ドレッシングなどです。
したがって、おかずが増えるときには、脂質摂取量が増えると考えましょう。
また、肉類は、脂質の中でも血中LDLコレステロールを上昇させやすい飽和脂肪酸を多く含みます。肉、魚介類の一部、卵にはコレステロールが多く含まれます。
飽和脂肪酸やコレステロール摂取量が増えて、血中LDLコレステロールを上昇させていないかチェックが必要です。
【対策】肉類は脂質の少ないものを選びましょう。また、コレステロールを多く含む食品に注意し、大豆製品を積極的にとりましょう。さらに、調理で使う油は、飽和脂肪酸の少ない、なたね油やオリーブ油がおすすめです。飲食店で使われている油・には、牛脂やラード(豚脂)がメインに使われていることもありますので、注意しましょう。
【増える】食塩
主食(ごはん、パン、麺)を減らすと、おかず(肉、魚、卵、大豆製品)が増える傾向にあることを上で説明しました。
そうすると、食塩摂取量が増えます。特に、主食が米飯のときに顕著です。
米飯は無味で、食塩の構成要素であるナトリウムがほとんどが含まれていません。おかずに含まれる塩味と口の中で調和させて味わいます(口中調味)。
おかずは、様々な調味料を使って味付けをするものですから、無味に仕上げることはほとんどありません。
よって、主食である米飯が減って、おかずが増えるとき、食事全体の食塩量は増加します。
食塩の摂取量が増えて循環血漿量(体内の血液量)が増えると、血圧上昇を引き起こす可能性があります。
【対策】おかずは極力うす味に仕上げること。
■まとめ
食事というのは、何かを減らせば、気づかぬところで他の栄養にも影響を与えることがあります。
ただし、炭水化物制限によって体重がしっかり減少すれば、多少脂質が増えたり食塩が増えたりすることのマイナス点をカバーできるくらいの効果が得られることもあります。
炭水化物制限は医師や管理栄養士の指導のもとに行うことが望ましいです。