管理栄養士を目指す学生は、栄養価を手計算で算出するべきか?
管理栄養士を目指す学生は、学びの中で「栄養価計算」を必ずおこないます。
何を計算するかというと
- 調理実習で用いるモデル献立
- 自分が立てた献立
- 対象者の食事調査
などがあります。
栄養価計算の方法としては、2つあります。
- 【手計算】食品成分表(書籍)から、各食品の100gあたりの栄養素量を探して、使用する食品量の栄養素量を電卓で算出し紙に転記する。
- 【ソフト使用】「栄養価計算ソフト」を用いて、食品の種類と使用重量を入力し、値を算出する。結果はパソコン画面や印刷により確認する。
【手計算】について補足します。
食品成分表から、使用する食品の求めたい栄養素の値(100gあたり)を見つけて、それに使用する重量を掛けて求めます。
食品成分表の値×使用重量(g)÷100という単純な計算です。
その計算を、使用する食品の数×求めたい栄養素の数 おこなうわけです。この作業は結構たいへんです。
私が大学生の時は、手計算で栄養価計算をするようにいわれました。とても大変でしたが、未だにそのファイルを捨てられずにいるくらいなので、いい意味での懐かしさを感じているのでしょう。
手計算をしないと栄養素の量の感覚が身につかないとに考えている方がいる一方で、在学中に一度も手計算をせずに管理栄養士になったという方もいます。
学生を教育するにあたり、手計算をさせるか、ソフトを使わせるかについて、様々な意見がありそうです。
そこで、それぞれの特徴を挙げてみました。
【手計算のよさ、弱点】
- 計算の手間をかけている間に考える時間がある。栄養素による量の違いやおおよその量が頭に入ってくる。
- 単なる作業になってしまうことがある。
- 時間がかかる。
- 算出する栄養素の数に限度がある。
【栄養計算ソフトのよさ、弱点】
- 時間が短縮できる。
- 余裕のできた時間を、献立の改善や食事調査の精度向上に使える。
- 管理栄養士の職場では栄養計算ソフトが使われているので、前もって使用方法に慣れることができる。
- 一瞬で結果が出るため、合計値に目を取られて誤りに気付きにくい?(使用重量を誤って入力していた時など)
- 栄養計算ソフトによっては、入力値が誤っていることがある。
■まとめ
書きながら、ソフト使用のほうが旗色がいいように感じてきました。
「(手計算で)苦労してこそ栄養価計算を学べるのだ!」という精神論は嫌いです。
しかし、手計算のよさは、「食品成分表をめくる経験が積める」というところです。
イメージとしては、新聞を読むかネットニュースを読むかの違いに近いかもしれません。
新聞は1面1面めくっていくと、とりわけ興味のなかった記事が目に入り役に立つことがありますが、ネット検索だと興味のあるものしか目に入りにくくなります。
食品成分表をめくることは新聞に読むことに似ていて、目的の食品以外の食品を学べたり食品分類について確認できたりします。
栄養価計算ソフトで効率化を図りつつ、食品成分表を見る習慣をつけてほしいと思います。
時間のある学生時代に、手計算をする経験も悪くないですよ。