日本人は何の食品からどうやってナトリウム(食塩)をとっているのか?減塩の栄養指導に生かせる論文
5年前の論文ではあるのですが、日本人のナトリウム摂取に関してとても重要なデータを示している論文を紹介します。
Asakura K,et al. Sodium sources in the Japanese diet: difference between generations and sexes.Public Health Nutr 19(11):2011-23, 2016
4日間の食事調査を基に、日本人のナトリウム摂取状況を調べています。
また、それが性別や年代によってどのように異なるかを明らかにしました。
「減塩」の必要性が叫ばれつつも、改善の傾向がみられない日本の状況に、ヒントを与えてくれるような気がします。
重要な結果(1)自分で調整できるナトリウムはどれくらいの割合か?ー約5割
食べるものを、①自分で調理、②調理済み食品、③外食に分けたとき、自分の裁量でナトリウム量を決められるのは、①自分で調理だけです。
①から摂っているナトリウムは全てのナトリウム(①+②+③)のうち、約5割を占めました。
また、①が全体に占める割合は、年齢が高いグループほど高くなりました。
⇒自分で調整ができるナトリウム量は、半分しかない!しかも、若い人は外食が多く、外食で摂取しているナトリウムが多かったということです。
減塩醬油を使いましょう、柑橘類や香辛料を使うと塩味が少なくてもおいしく食べられますよと栄養指導しても、自分で減塩しようとできる範囲は、全体の半分しかないということを改めて認識する必要があります。
重要な結果(2)すべての摂取ナトリウムのうち、調味料からとっている割合は?-約6割
食品群別のナトリウム摂取量を比較した場合、最も多かったのが(やはり)調味料で、約6割を占めました。
⇒これを多いと感じるか、少ないと感じるかですが、「食塩=調味料」という認識が大きいなかで、約4割のナトリウムは調味料以外からとっていることは新鮮な発見です。
重要な結果(3)ナトリウム摂取の多い食品群の第2位は魚介類、第3位は?ー男性 麺類、女性 パン類
2位は食材にナトリウムが多く、また魚介練り製品や干物、漬け魚などで食塩を添加して加工する魚介類が入りました。
そして、3位は性別により、結果が異なりました。男性は麺好き、女性はパン好き。納得です。
性別での特徴をとらえた栄養指導が大切ですね。
重要な結果(4)年代別のナトリウム摂取源の特徴は?-若い男性で麺類が多く、若い層では漬物が少ない。
年齢別の特徴をみてみると、男性のおいてのみ、若いほど麺類からのナトリウム摂取が多い結果でした。
また、高塩分食品=漬物 として栄養指導が行われていますが、若い世代では、漬物からのナトリウム摂取はそれほど多くなかった。
⇒年代によって、特に注意する食品を変えることにより、効率的、効果的な栄養指導に結び付きそうです。
まとめ
減塩の栄養指導といえば、だしをしっかりとって「うま味を生かしましょう」などと、調理をするうえでの工夫を伝えることが多いと思います。
しかし、この論文でも明らかになった通り、調理済み食品や外食からのナトリウム摂取が多いという現状、また、麺やパンなどの主食して一定量を摂取する加工食品からのナトリウム摂取が多いという現状を踏まえて、「現代版減塩指導」を考えていかなければいけないと思います。