サラダ油は過去のもの!?なたね(キャノーラ)油が主流の調理油 

「試験食」を被験者に摂取してもらう研究を計画するときに、試験食に使う食材を物色しに大学近くのスーパーに出かけます。メモとペンを片手にウロウロしているので、店員さんに怪しまれることもあります…。

今年は、脂肪酸に関する研究をする予定だったので、いくつかのスーパーの油の棚付近で長時間を過ごしました。

おしゃれな瓶とラベルのオリーブ油の数々、えごま油・あまに油などの健康志向油の充実、米ぬか油やグレープシードオイルなどがズラリと並び、「油くさーい」イメージとは違う場所です。

改めて確認したことがあります。

圧倒的に、なたね油が多いということ。

以前は、サラダ油(多くは、なたね油と大豆油の混合油)が最も一般的な調理油だったと記憶しています。

いまは、ほとんど見かけません。

また、大豆油もほとんど売っておらず(業務用ではよく使用されています)、いくつものお店に電話してようやく見つけたくらいです。

家庭用油としては、大豆油からなたね油に切り替わったということですね。

なたね油は、栄養学的にも優れている油です。

脂肪酸は、大きく分けて、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸があります。

飽和脂肪酸は血中LDLコレステロールを増加させ、動脈硬化性疾患のリスクを上げることが、指摘されています。

そして、飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸に置き換えると、心血管疾患などのリスクを下げることも示されています。

飽和脂肪酸の代わりというかたちでなく、単に一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸をとった場合の効果については不明で、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸のどちらがより健康によいのかも十分に分かっていません。

今のところ言えることは、飽和脂肪酸を減らし、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸を増やすのがよいということです。

これには、肉類や乳製品の摂取過剰をやめて、魚や植物性食品を積極的にとることが推奨されます。

調理油のなかでいうと、なたね油は(世界の健康油である)オリーブ油や、大豆油、他の油に比べても、飽和脂肪酸の量が少ないです。

そういう点では、なたね油を調理油として多く使用する日本の食習慣は優れているといえます。

ただし、外食や中食で使われている油は、必ずしも、なたね油ではありませんので、ご注意を!