忙しい人のダイエットは「主食量を減らす」

ちょっと太ってきたかなと思った時に主食のご飯を減らすのは、古典的なダイエット法ですね。

以前の記事で低炭水化物食に関する研究を紹介しました。

自分自身のデータや研究論文から、やはり50%E程度は炭水化物をとることが他の栄養素のひずみを生じない線であると考えています。ですので、極端な炭水化物制限には反対の立場ですが、炭水化物制限の「分かりやすい」という利点は管理栄養士として無視することができません。

「分かりやすくて食事療法に取り組むハードルが下がる」点を利用した、炭水化物制限に関する探索的な研究をご紹介します。「肥満者における緩やかな炭水化物制限に脂肪酸の指導を加える影響 : 実践的な栄養指導プログラムの検討」(日本臨床栄養学会雑誌 41(2), 152-163, 2019)

糖尿病や心血管疾患の既往の無いBMI25以上の肥満者(1名は降圧薬服用あり)7名に以下の栄養指導をしました。

栄養指導内容

  • 毎食、指示した主食量をとる。(主食抜きや指示量以上の摂取はだめ)
  • 主食量は体格、年齢、活動量から個別に算出(身長164.3㎝、体重71.8kg、40代の営業職男性の場合、米飯113g、ゆでうどん194g、食パン90gに相当する。
  • 主食として食べる穀類以外の高炭水化物食品(いも類、果実類、調味料類、菓子類、嗜好飲料類等)に関しては制限なし

主食由来の炭水化物を制限するのは、いわゆる「定食風」の食事のときは簡単です。しかし、チャーハン、ラーメン、カレー、丼などのメニューの場合は半分以上ご飯や麺を残さなければならなくなります。そうすると、単品メニューを選択しずらく、結果として脂質も減少するという傾向がみられました。「毎食、制限された主食をきちんと食べる」という食行動が、副食との組み合わせを考慮した食事を選択することにつながった可能性があります。この研究は、単に炭水化物量を減らす効果というよりは、主食に意識を集中させることで、食事全体を見直すという効果が期待できることを示しています。

研究に協力いただいた7名全てが1か月後に体重減少しており(平均2.7kg減、3.4%減)、6か月後の追跡検査でも1名以外はさらに体重を減少させていました。

1から10まで教える栄養指導だけでなく、焦点を絞って行動変容に結び付きやすい”効果の出る”指導方法の検討が大切です!